抄録
茶葉光合成の低温阻害に及ぼす生長調節剤の影響を検討するため, 葉片または個葉をABA, BA, GAまたはIAAを含んだ溶液に浮かべ, 照明下(12klx), 12℃の低温処理を2日間行なった. 対照として, 温度を20℃にした区を設けた(BA と ABAのみ). 蒸留水に比べて, 12℃の光合成はGAで, やや促進され, IAA でやや阻害された(第1図). BA (40μmole)は20℃での光合成速度を促進し, 12℃の光合成及び光飽和のヒル反応活性の阻害を助長した(第2図). 一方, ABA (5μmole)は20℃での光合成を阻害し, 光合成及び光飽和のヒル反応活性の低温阻害を軽減した. ABAとBAの効果は低温処理前に投与しても認められた(第2表). また, ABAとBAにより葉身のショ糖とデンプン量は影響されなかった(第1表). 光合成低温阻害の感受性に対するABAとBAの作用機構について検討した.