抄録
間作ダイズ(品種:中鉄砲)の生育・収量に及ぼす栽植様式(1列交互作区, 3列交互作区) と組合せ作物(トウモロコシ・・・品種ハニーバンタム, サトイモ・・・品種岐阜早生)の影響を1983年に岐阜大学内研究圃場においてポット栽培により検討した. 栽植様式の違いによる光環境の差異とダイズ収景との関係を明確化するためダイズ開花始期にダイズボッ卜の一部を組合せ作物毎に栽植様式区間で相互に移動(1列交互作区=3列交互作区) した(第1図). 実験結果は以上のとおりであった. 生育:ダイズ主茎長(草高)はダイズ生育初期~開花期前の生育段階ではトウモロコシとの1列交互作区で徒長したのに対し, サトイモとの間作ではいずれの栽植様式区においても伸長程度は小さかった. ダイズ開花始期以降の主茎長の伸長率はいずれの組合せ作物区においてもポット移動による有意な差異を示さなかった(第2表, 第2図). 節間長は全般的に7節~13節の間で最も伸長率が高かった(第3図). 分枝数はサトイモとの組台せの方がトウモロコシとの組合せよりも多い傾向にあっだ(第2表). ダイズ草冠部上の群落内照度は生育初期~開花始期前の生育段階で組合せ作物の影響を最も強く受け, トウモロコシの1列交互作区で最も遮光程度が高く, 最低値を示した. これに対し, サトイモとの間作では遮光程度は栽植様式に関わらず低かった. これらの両作物種間の生育速度の違いがダイズ群落の受光態勢に大きく影響した(第2図). 開花始期にはトウモロコシとの間作ではトウモロコシ葉の枯れ上がりのため1列区, 3列区ともダイズ草冠部上の照度は高まった. サトイモとの間作ではサトイモ葉の拡大により, 照度は逆に両区とも低下した. 成熟期ではいずれの作物種との組合せにおいてもダイズ草高の高まりと各組合せ作物葉の顕著な枯れ上がりのためダイズ群落の光環境は大きく改善された(第6図). 収量 : ダイズ収量は栽植様式に関わらずサトイモとの間作の方がトウモロコシとの間作よりも高かった. 栽植様式とポット移動処理による収量への影響については 3列区≒3列→1列区>1列区≒1列→3列区 の傾向があった. ダイズ開花始期以前のダイズ群落における低照度は完全芙数及び完全粒数の減少を末し, これが最終的には低収量と結びついた(第4, 5図)が, 開花始期以降の光条件は収量に殆ど影響を与えなかった. 収量構成要素に関しては卜ウモロコシとの間作で不完全英数が多く, このことが組合せ作物間の収量差の直接的な原因となった(第5表). なお, トウモロコシとサトイモの生育・収量については栽植様式の違いに関わらず, 各作物区間ともいずれも有意差は認められなかった(第1, 3, 4表).