日本作物学会紀事
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コムギに及ぼすグアザチンの影響
今井 勝
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1988 年 57 巻 1 号 p. 242-245

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抄録

糸状菌に対して広範な抗菌スペクトルを示すグアザチンの酢酸塩(1,1'-iminodi [octamethylene] diguanidium triacetate, 商品名ベフラン(R))がコムギの収量を高めるという情報を基に, 人工光ファイトトロン中で栽培したコムギにその水溶液を噴霧して, 生育, 穂重・粒重, 光合成・蒸散に及ぼす影響を検討した. グアザチン0.025及び0.25%水溶液噴霧施用は幼植物の生育を促進したが, 根に対する効果はなかった. 穂ばらみ期の施用は1穂重を25-27%高めたが, それは主として1穂粒数の増加に基いていた. 開花期以降の施用は1穂重を20%高めたが, それは1粒重の増加のみに基いていた. 幼植物期及び開花期の葉の光合成速度はグアザチン施用により8-16%促進されたが, 蒸散に対する効果はほとんどなく, 結果的に水利用効率が最大15%改善された.

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