日本作物学会紀事
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風向および風速が稲株内の位置を異にする稈の傾斜角度に及ぼす影響
池田 武
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1988 年 57 巻 2 号 p. 276-280

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抄録

本実験は, 1本植えないし比較的疎植に育てた稲の株を構成する稈が, 上からみるとほとんど扁円形をしていることに着目して行われた. コシヒカリを1/2000aポットに1本植えし, 基肥窒素量を3段階にして, まず稲株の長軸方向を風と平行にした場合の稲株内の位置を異にする稈の傾斜角度に及ぼす風速の影響を検討し, 次に株の長軸方向を風と直角にして, 主稗の傾斜角度に及ぼす影響を検討した. 風速は, 3~13 m/sの範囲であった. 結果は以下の通りである. 1. 株の長軸を風向と平行にした時, 稲株を構成している稗は, 稗の位置によって風速に対する反応が異なった. 稈の傾斜角度は, 風上で大きく, 風下で小さかった. また, 基肥窒素量を異にすると, 窒素量が多いほど傾斜角度が大きくなる傾向にあることが認められた. 2. 株の長軸を風向と直角にした時, 主稈の傾斜角度は, 株の長軸が平行の場合より大きくなった. また, 基肥窒素量を異にしても, 主稈の傾斜角度にほとんど差がみられなかった. 以上より, 稲株の長軸に対して, 風の吹く方向が異なれば, 稈の傾斜角度に違いがみられ, 風に対する反応の異なることが示唆された.

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