抄録
水稲の1次枝梗着生穎花の開花の早晩と完熟時の粒重との関係について検討した. 穂上位置を異にする2つの穎花間で, 開花日の差 (Δt) と粒重の差 (Δw) を調査した. 最も多く観測された開花日の差 Δtmode とその際の粒重の差 Δwmode を基準にとり, 開花日の差の偏差 (Δt-Δtmode) と粒重の差の変化 (Δw-Δwmode) との関係を調べた. 同一の1次枝梗上の穎花間でも (第2図), 異なる1次枝梗上の穎花間でも (第3図), Δt-Δtmode と Δw-Δwmode との間には, 直線の傾きが有意に負の相関関係がみとめられ, 相対的に早く (遅く) 開花する穎花ほど粒が大きく (小さく) なることが明らかになった. 穎花は早く開花するほど養分分配の競合等の点で有利であると考えられた.