イネ科に属する雑穀類で, 系統上はキビ亜科に属するアワ, キビ, ヒエ, トウジンビエ(キビ族), モロコシ(ヒメアブラススキ族), ジュズダマ(トウモロコシ族)およびスズメガヤ亜科に属するシコクビエ(ヒゲシバ族)を対象に, 成熟段階および生育途上における, 主茎上の葉と根相互の量的関係について検討した. 1. シコクビエを除いて, いずれの雑穀類も, 成熟段階における総葉面積/総根断面積の値はほぼ類似したものであった(第2表). 生育の過程を追ってみると, はじめは総葉面積が総根断面積より相対的に増加するが, 次第に総根断面積の増加が顕著になった(第1図). とくに生育の初期においては, 総葉面積と総根断面積の量的関係には作物の種による差異がみられ, 総葉面積に比較した総根断面積は, アワ, モロコシでは小さく, ヒエ, ジュズダマでは大きかった. 2. 成熟段階における葉維管束総断面積/根中心柱総断面積の値の作物間差異は小さく, なかでも, アワ, キビ, ヒエの3者, モロコシ, トウジンビエ, ジュズダマの3者はそれぞれ類似した値を示した(第3表). いずれの雑穀類においても, 生育が進むにともなって, 根中心柱総断面積が葉維管束総断面積に比べて次第に相対的に大きくなる傾向にあった(第2図). 3. 以上より, 主茎の全体に着目すると, いずれの雑穀類においても, 基本的に葉と根の間に共通した量的関係が保たれているが, 作物の種類によってその関係が若干異なっていることが明らかになった. 葉と根の量的関係について, 環境ス卜レス等に対する安全性等の観点からの考察を試みた.
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