日本作物学会紀事
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熱帯地域における稲作およびその生態生理学的研究 : 第5報 インドにおける数種栽培稲の収量および収量構成要素
谷山 鉄郎池田 勝彦スバイヤ S.V.ラオ M.L.ナラシマシヤルマ S.K.
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1988 年 57 巻 4 号 p. 728-732

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抄録
収量調査には Vijayamahsuri, Sonamahsuri, Mahsuri, Basmati, HR 59の5品種を用いた. Mahsuri は東南アジアで比較的広く栽培されていると共に, Vijayamahsuri や Sonamahsuri の交配母本でありすぐれた品種でもある. 一株当り穂数は Vijayamahsuri と Basmati の浅植えで多く, 他の品種は少なく7本程度であった. 一穂当り籾数は Mahsuri が多く, ついで Vijayamahsuri であった. 香り米の Basmati は最も少なかった. 千粒重は一般的に日本型水稲に比較して著しく低かった. 収量は Vijayamahsuri がすぐれ, ついで Sonamahsuri であった. HR 59 と Basmati は低かった. 浅植えした Basmati は穂数と登熟歩合の増大で深植え(慣行植え)に比較して増収した. Mahsuri は肥沃土または多肥栽培では倒伏しやすく, 本調査水田地域においても, 大部分が登熟後期に倒伏した. 倒伏は大別して3種類の型があり, 上位第1または第2節間の挫折が最も多かった. 倒伏の主因はこれら上位の節間が日本型水稲に比較して長いことによるものといえよう. Vijayamahsuri と Sonamahsuri は日本型水稲に類似した節間伸長を示した. インドの稲作は施肥量の増大につれて増収していることから, 今後, 肥培および水管理技術の向上につれて増収していくものと思われる.
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