日本作物学会紀事
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根長密度モデルによる根系形態の解析 : 第1報 モデル
菅 徹也根本 圭介阿部 淳森田 茂紀
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1988 年 57 巻 4 号 p. 749-754

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抄録
シミュレー卜した根長密度を用いて根系形態を解析するモデルを提案する. ひげ根型の根系をもつ作物個体群を想定し, (1) 1人根均等伸長, (2) 分枝均一および (3) 半球状根域という3つの単純な仮定をおく. その仮定より, 根長密度 (p) は, 土壌中の位置の関数として数学的に記述することができる. p のシミュレーションは, コンピュータープログラムで行なうが, そのシミュレーションプログラムは, 株間距離 (a), 条間距離 (b), 株の大きさ("株半径" ; ro), 根域の大きさ ("根域半径" ; rmax) および根の分枝の程度 ("根長密度定数" ; k) という5つのパラメーターを含む. k および rmax の値は, シミュレートした根長密度 (pmodel) が実測した根長密度(pactual) と最もよく適合するように選定する. シミュレーションプログラムのパラメーターから, いくつかの根系形態の指標が導かれる. それらの指標は, 重要でありながら通常圃場での測定が難しい, 種々の形質に対応するものである. 第2報では, 小稲根系を対象とした, 本モデルを利用した解析例を報告する.
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