日本作物学会紀事
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木酢液ならびに木酢液と木炭の混合物がイネの生育および収量に及ぼす影響
続 栄治脇山 恭行江藤 博六半田 弘
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1989 年 58 巻 4 号 p. 592-597

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抄録
木酢液ならびに木酢液と木炭の混合物 (木酢液1:木炭4; 以下, サンネッカEと略称) のイネの生育および収量に及ぼす影響を1987, 1988年の両年圃場ならびに室内実験で検討した。サンネッカEの基肥施用によって1987年実験では, 穂数が増え, 玄米収量が増収 (17%) したが, 1988年においてはサンネッカE施用によって, 穂数の増加はみられたものの, 玄米収量においては施用区と無施用区間に差異は認められなかった。しかし, 両年の実験とも, サンネッカEはイネの地下部乾物重を増加させ, 根の呼吸速度を促進することが認められた。サンネッカEのイネ幼苗の生長に対する影響を育苗箱および水耕実験で検討したところ, サンネッカE施用によって草丈および根の伸長が促進され, 特に根数が著しく増加することが認められた。サンネッカEの作用は砂耕および水耕実験から木酢液による効果が大きいものと推察された。無菌的に行った根端培養実験から, 木酢液は分枝根の発生を促し, 根の伸長を促進することが認められた。また, 木酢液の作用には最適濃度が存在し, その作用はホルモン的であることが示唆された。以上の結果, サンネッカEおよび木酢液のイネの生育に対する作用は, 根の発達を通して根を活性化させ, これによって地上部の生長が促進されるものと推察された。
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