日本作物学会紀事
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米の品質形成に関する生理・生態学的研究 : 第1報 穂揃期窒素追肥ならびに登熟温度が米質に及ぼす影響
玉置 雅彦江幡 守衛田代 亨石川 雅士
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1989 年 58 巻 4 号 p. 653-658

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抄録
穂揃期窒素追肥ならびに登熟温度が米質に及ぼす影響について, 米飯のテクスチャー, タンパク質, アミロース, 結合脂質 (fat-by-hydrolysis) 含有率の点から検討した。窒素追肥により, 白米タンパク質含有率は増加した。米飯のテクスチャーのうち, そしゃく性値は, タンパク質含有率の増加にともない増加した。粘着性および食味指数値は, タンパク質含有率が8.5%のときに最も高くなった。アミロースおよび結合脂質含有率は, タンパク質含有率と関係が見られなかった。以上から, アミロースおよび結合脂質含有率の変化が小さいときには, 米飯のテクスチャーは, タンパク質, 特に難溶性タンパク質に強く影響されることが示唆された。一方登熟温度処理により, うるち米は低温ではそしゃく性値が顕著に大きく, 粘着性および食味指数値は顕著に小さくなった。もち米では, これらの傾向はみられなかった。アミロースおよび結合脂質含有率は, うるち米では低温ほど高まったが, もち米では変化が見られなかった。タンパク質含有率は, うるち米, もち米とも低温では減少した。登熟温度がうるち米米飯のテクスチャーに及ぼす影響は, アミロースおよび結合脂質含有率の変化によるものであり, タンパク質含有率には影響されなかった。しかしながら, もち米米飯のテクスチャーは, 登熟温度に影響されなかった。
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