日本作物学会紀事
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米の品質形成に関する生理・生態学的研究 : 第3報 登熟時期および登熟条件が白米ならびに米飯付着遊離アミノ酸に及ぼす影響
玉置 雅彦江幡 守衛田代 亨石川 雅士
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1989 年 58 巻 4 号 p. 695-703

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抄録
米飯付着および白米中の遊離アミノ酸を, 味の観点から検討し, 生育にともなう米飯付着遊離アミノ酸含量と組成割合を, 白米の場合と比較した。さらに穂揃期窒素追肥, 登熟温度および品種の違いが遊離アミノ酸に及ぼす影響についても検討した。遊離アミノ酸含量は未熟米では多かったが, 登熟にともない減少した。とくに米飯付着では過熟期まで減少し続けた。人が感じ得る呈味は, 未熟米で濃く過熟米では薄れることが示唆された。米飯付着遊離アミノ酸の組成割合は, 登熟にともないかなり変化したが, 白米ではほとんど変化しなかった。著しい低たんぱく米や高たんぱく米でも, 遊離アミノ酸含量は少なくなった。また低温下では, 遊離アミノ酸含量は未熟米の場合と同様に多くなった。良食味品種の米は遊離アミノ酸含量は多かったが, 白米よりも米飯付着においてこの傾向は顕著であった。良食味米は炊飯時に遊離アミノ酸, とくにグルタミン酸が米飯から溶出しやすかった。
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