抄録
リョクトウの"Ideo-type"の特性を知るためにインド産1を含むアジア各地域産の在来及び育成品種計83を5月中旬に播種し, 開花の早晩によりI~IIIの3群に分け, 高知での採種が可能な弱感光性品種群 (lI) の24品種について2ヵ年にわたり圃場条件で栄養生長, 生殖生長諸特性, 子実収量などと開花の早晩性との関係を調べた。播種後開花始迄日数 (DFF) は, 両年で46~63, 43~65日, 平均約52日で変異係数は約10%と小さく, 草丈, 1次分枝数, 主茎の栄養節数, 生殖節数及び総節数とは高い有意な正の相関を示した。DFFはまた生殖節数/主茎総節数割合, 莢実成熟始迄日数 (播種後), 生殖生長期間および子実収量とは負の相関を示し, 開花の早い品種では栄養生長の期間が抑えられて生殖生長期間が長くなり, 子実収量が増加したが, 開花の遅い品種では栄養節と生殖節数の増加が多収化に寄与しなかった。子実収量は多くの栄養生長指標形質とは負の相関を示したが, 両年とも最高収量 (平均191 gm-2) を示したインドの在来品種起源の系統KUS (高知大学選抜系1-19) を含む開花の早い高収量の数品種は慨して栄養生長量が優れた。この系統KUSは温暖な温帯地域の環境条件に適したリョクトウの"Ideo-type"の特性を具えていることが示唆された。