日本作物学会紀事
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ダイズ植物体の生理的条件と呼吸速度との関係 : III. 着生および切断した条件における葉と根の呼吸の特徴
山岸 順子石井 龍一玖村 敦彦
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1989 年 58 巻 4 号 p. 720-725

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抄録
葉身および根の呼吸速度の経時変化を着生条件と切断条件において比較し, 異なる器官における呼吸に経時変化をもたらす体内要因について検討した。着生条件においては, 展開中の葉身の呼吸は深夜において顕著に上昇 (Midnight rise of respiration, MRR) したが, 展開終了した葉身においては顕著なMRRは見られず, 呼吸速度は深夜にはほぼ一定となり, その後急激に低下した。根については, 明らかなMRRが認められた。切断条件においては, 葉身の呼吸速度は着生条件において見られたものと同様のパターンを維持していたが, 根ではMRRが完全に消失した。したがって, 根の呼吸は地上部の有無によって著しく影響されるのに比べ, 葉身の呼吸は他の器官から独立した傾向を持つことがわかった。さらに, MRRをひきおこす体内要因は, 葉, 特に展開中の葉に顕著に存在することが示唆された。
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