日本作物学会紀事
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種子播き栽培カンショの乾物生産
岩間 和人吉永 優久木村 久
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1990 年 59 巻 1 号 p. 146-152

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抄録
カンショの挿苗栽培に比較して種子まき栽培では低収である理由を明らかにするために, 交配親を異にする種子播き6集団と挿苗2品種における地上部と塊根の生長を調査した。種子播き集団間では収量が大きく異なり, 種子播き集団の一つは多収の挿苗品種に類似した収量を示した。供試材料間の収量の差異は8月下旬から10月中旬の期間の乾物生産量の差異に主として起因し, これは葉の効率, すなわち全乾物重の増加量/平均葉乾物重の差異の影響を強く受けた。さらに, 葉の効率は8月下旬における塊根重歩合 (塊根乾物重/全乾物重) の高い供試材料で高い傾向を示したことから, 8月下旬の塊根重歩合と収量との間に密接な相関関係が認められた。以上の結果から, 種子播き栽培の初期生長の促進を図る栽培法を用いた場合, 優れた種子播き集団では多収の挿苗品種に類似した収量が得られるものと推察した。さらに, 種子播き集団間では塊根のシンク能力に大きな差異があり, これが塊根肥大後期の葉の効率ならびに乾物生産, さらには収量を主として規制していることが示唆された。
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