日本作物学会紀事
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水稲の主稈における節位別分げつの子実生産力 : 第1報 分げつ出現節数と出現節位の影響
山本 由徳池内 浩樹
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1990 年 59 巻 1 号 p. 8-18

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抄録
ポットに1株1本立で直播した水稲主稈の第2節から第11節の範囲で特定の節位に分げつを1節あるいは2, 3, 5節組み合わせて残存させ, それ以外の節から出現する1次分げつを毎日除去して生育させ, 主稈の節位別分げつの子実生産力に及ぼす1次分げつ出現節数および節位の影響について検討した。1) 1次分げつ残存節数が少なく, 残存節位が上位の区ほど主稈葉数が多くなり, 主稈穂重は優った。2) 1次分げつの出現日および出現率は第6節までは分げつ残存節数および残存節位の影響を受けなかったが, それ以上の節位では下位節に出現節数の多い区ほど出現日が遅れ, 出現率も低下する傾向がみられた。また, 下位節の1次分げつほど出現から出穂まで日数あるいは止葉葉数は多くなったが, 穂重との間に明瞭な関係は認められなかった。3) 主稈の節位別分げつ穂重 (子実生産力) は, 一般に穂数の差により下位節ほど優るが, ある特定節位の分げつの子実生産力については1次分げつの出現数の多少, および他の1次分げつの出現節位によって著しく変化するものと考えられた。すなわち, 主稈第n節分げつの子実生産力は他節からの分げつ出現数が少なく, さらに分げつ出現節数が同一の場合には, 第n節位より上位に他節の分げつが位置するほどその子実生産力は大となった。4) 主稈の中, 上位節にのみ1~2節とごく少数の1次分げつが出現すると, 高次分げつの割合が高くなり株当り穂数は対照 (無処理) 区に比べて減少した。しかし, 平均1穂重は主稈および各次位別分げつとも対照区を上回り, 株当り穂重の低下はわら重に比べて小さくなり, その結果穂重/わら重比は向上した。
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