日本作物学会紀事
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北海道のアズキ品種における収量構成要素の差異と遺伝
三浦 秀穂
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1990 年 59 巻 4 号 p. 696-700

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抄録

北海道の主要なアズキ品種を用い, 2年間にわたって収量構成要素 (主茎莢数, 分枝莢数, 一莢内粒数および百粒重) の品種間差異と遺伝相関を調べた。さらに6品種間の片面ダイアレル交雑を用い, それら形質の遺伝分析を行った。4形質いずれでも大きな品種間差異が認められ, 年次間変動の大きかった分枝莢数を除くと, 試験区平均をもとに推定した遺伝率は75%以上と高かった。ダイアレル分析から, 主茎莢数と分枝莢数の遺伝変異は, 遺伝子の相加的効果に比べ優性効果の支配を強く受け, それぞれ主茎莢数の少ない方向および分枝莢数の多い方向に優性を示すことがわかった。一方, 一莢内粒数と百粒重の遺伝変異は優性効果よりも遺伝子の相加的効果の支配を強く受けた。主茎莢数は他の3形質と遺伝的にも環境的にも独立であると推定された。分枝莢数は一莢内粒数とは正の, 百粒重とは負の遺伝相関があり, それらは遺伝子の相加的効果の間の相関に起因していた。一莢内粒数と百粒重は, 高い負の遺伝相関を示した。以上の結果から, 主茎莢数と分枝莢数は独立した遺伝支配を受けることが示唆され, 独自の選抜が可能であろう。その場合, 両形質とも分離の多い初期世代より固定のより進んだ世代での高い選抜効果が期待できる。逆に一莢内粒数と百粒重に対しては初期世代での選抜が有効と考えられた。

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