日本作物学会紀事
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北部九州産米の食味に関する研究 : 第2報 収穫期が米の食味および理化学的特性に及ぼす影響
松江 勇次水田 一枝古野 久美吉田 智彦
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1991 年 60 巻 4 号 p. 497-503

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抄録
栽培環境条件と米の食味と理化学的特性の関係を明らかにするために, 収穫時期が食味と精米中のタンパク質含有率, アミロース含有率およびアミログラム特性に及ぼす影響について検討した. (1)早刈や遅刈では成熟期刈に比べて食味が低下する傾向にあった. (2)成熟期に近づくにしたがってタンパク質含有率, アミロース含有率は低下し, 最高粘度, ブレークダウンは増加した. (3)成熟期前早刈による食味低下はタンパク質含有率, アミロース含有率の増加および最高粘度, ブレークダウンの低下によるものと考えられた. 成熟期後遅刈による食味低下はブレークダウンの低下が要因の一つと考えられた. (4)成熟期刈の食味と遅刈による食味低下程度の関係は品種によりさまざまであり, 供試品種は数種のタイプに分けられた. 成熟期刈の食味は高いが遅刈による低下程度が大きいもの, 食味が低く低下程度も大きいもの, 食味が高く低下程度が小さいもの, 食味は低いが低下程度も小さいものがあった. (5)遅刈によって食味と理化学的特性は変化したが, 両者の関係は明らかでなかった. (6)遅刈による理化学的特性の変化は品種により異なり, 変化の大きい品種と小さい品種とがあった.
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