福岡県における水稲主要9品種を用いて, 玄米を1年間室温貯蔵した古米の食味および食味関連形質の品種間差を検討した. 貯蔵後はいずれの品種も食味が低下し, コシヒカリの古米の食味は, 新米の日本晴と同程度であった. 古米での食味にも品種間差があり, 新米で食味の良好な品種が古米の食味も比較的良かった. 古米での食味総合評価には, 新米同様に外観, 味, 粘りの三つの要素が強く影響していた. 古米の遊離脂肪酸の生成量は品種によって異なったが, 概して古米の食味評価の高い品種は遊離脂肪酸が少なく, 食味評価の低い品種は遊離脂肪酸が多かった. いずれの品種も古米の最高粘度が高くブレークダウンは大きくなり, その程度は品種によって異なったが, 古米の食味との関係は明らかでなかった.