日本作物学会紀事
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改良インディカ水稲における出穂後の葉の老化の品種間差
和田 義春和田 源七
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1991 年 60 巻 4 号 p. 529-536

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抄録
国際イネ研究所の改良インディカ水稲の出穂後における葉の老化の品種間差を, シンクの大きさおよび窒素(N)施用との関連から調査した. 中生系統は葉の老化が早く, 早生系統の中には老化の早い系統と遅い系統とが存在した. 中生系統は早生系統に比して出穂期の葉面積が大であり, またシンクサイズも大きかった. 一方, 早生系統の中では大きなシンクを形成した系統ほど出穂後の葉の老化が早かった. 基肥N施用量が多い場合には大きなシンクを形成し, 同時に出穂期以降の葉の老化が早かった. また, 出穂期のN迫肥は葉の老化防止に効果があった. 実験的に穂切除や籾数制御を行ってシンクを小さくすると葉の老化が抑えられた. シンクサイズと登熟期に葉から穂に再転流したN量, およびこの時期の葉面積の減少量との間にはいずれも有意な正の相関がみられた. 以上の結果から, 登熟期の葉の老化は, 籾のN要求量と登熟期のN吸収量によって決定される葉からの再転流N量の大小に主に支配されると考えられた.
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