日本作物学会紀事
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西アフリカ地域の水稲栽培種 Oryza glaberrima Steud. と Oryza sativa L. の乾物生産と光合成の水耕液濃度に対する反応
窪田 文武岡野 智縣 和一片山 忠夫
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1992 年 61 巻 2 号 p. 207-212

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抄録

西アフリカ地域で栽培されている Oryza glaberrima の乾物生産特性を明かにするため, 関連する主要生長パラメータや光合成速度の水耕液濃度に対する反応について, 同地域の O. sativa およびわが国の代表的品種である日本晴と比較, 解析した. O. glaberrima 7系統, O. sativa 9系統および日本晴をロック・ウール水耕装置を使用して, 木村氏B液で栽培した. 発芽後はじめの1カ月間は標準の75%の水耕液濃度で栽培し, その後の1力月間を3段階(標準濃度の50, 150および400%)の濃度条件で栽培して, 調査, 測定を行った. その結果, (1)西アフリカ産2種の生育は旺盛であり, 特に, 乾物重と葉面積は日本晴の値に比較して大きかった. (2) O.glaberrima の乾物重, 葉面積および稈数は, 全濃度区において O.sativa の値を上回った. また, 水耕液濃度に対する反応にも種間で明確な差があり, 栽培種として未分化とされている O.glaberrima の反応が鋭敏であった. (3) O.glaberrima の個葉光合成速度は, 全濃度区を通して O.sativa よりも低い値であったが, 光合成速度の水耕液濃度に対する反応は O.glaberrima が鋭敏であった.

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