日本作物学会紀事
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トウビシの生育と収量成立に関する研究 : 第4報 花芽の着節様式および分枝茎の果実生産力について
有馬 進原田 二郎田中 典幸
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1992 年 61 巻 4 号 p. 590-596

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抄録
水田に栽培したトウビシ(Trapa bispinosa Roxb.)個体について, 分枝茎構成が精果実の生産に及ぼす影響を明らかにするために, 茎軸上の花芽の着節様式, 各構成茎について花芽数, 開花開始日の早晩および精果実数を調査した. また, 栽植密度および時期を変えて遮光した場合の花芽の着節様式の変化についても検討した. 各茎軸においては, 花芽の着生した1~2節(有花節部)と花芽の着生しない4~10節(無花節部)が交互に連続した着節様式を示した. その場合, 無花節部の節数は上位節になるほど減少する傾向を示し, 低位の有花節部における開花前期に開花する果実の成熟条件が優れていることが推定された. 茎間の生産力を比較したところ, 低次位で母茎の低節位から早期に発生した茎ほど精果実数が多くなり, 高い生産力を示した. このような茎では開花前期に開花する果実数が相対的に多くなることによると考えられた. さらに, 栽植密度と遮光時期を変更した結果, 栽植密度が7.1本/m2より少ない時, あるいは6月に早期遮光を行った場合, 第1花芽の着生節位が高くなった. それは, 分枝茎構成において低次位, 低節位分枝の比率が減少したことによると考えられた. したがって, 分枝茎構成の低次位化および早期に発生する分枝茎の増加は, 精果実数を確保し, 多収を得るために重要であることが明らかとなった.
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