日本作物学会紀事
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コムギ品質におよぼす土壌と窒素, リン酸施肥の影響
佐藤 暁子小柳 敦史末永 一博渡辺 修川口 數美江口 久夫
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1992 年 61 巻 4 号 p. 616-622

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抄録
灰色低地土, 赤色土, 厚層多腐植黒ボク土および淡色黒ボク土の4種類の土壌に生育したアサカゼコムギ, 農林61号の品質について検討した. 灰色低地土で生育したコムギは粗タンバク含量が中庸であるのに対し, 赤色土で生育したコムギは子実や粉の粗タンパク含量が低く, ファリノグラフの吸水率(Ab.)およびめん官能試験の粘弾性が低かった. 2種類の黒ボク土で生育したコムギは子実の灰分含量が低く, 子実や粉の粗タンパク含量が高く, 生地の弾性が高かった. 赤色土では堆肥施用と窒素追肥により, 黒ボク土では, 堆肥施用とリン酸の多量施用によりそれぞれ増収し, 品質面では赤色土での低い粗タンパク含量が増加, 黒ボク土での高い粗タンパク含量が低下し, それぞれ適正値に近づいた. 黒ボク土では堆肥施用とリン酸の多量施用により粉の明るさおよびめんの色が向上した. さらに, 施肥法の改善により淡色黒ボク土ではアサカゼコムギと農林61号のめん適性が向上し, 赤色土と厚層多腐植黒ボク土では農林61号のめん適性が向上した.
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