抄録
地下結実性の落花生の茎系は, シンクの莢実を地上で機械的に支持する役割は不要であろう. 茎系 (葉柄を含む) への乾物分配割合の減少と子実収量との関係を明らかにするために, 3か年にわたり, 延べ27品種を用いて, 子実収量と, 栽培的特性, 器官別乾物重, 収量構成要素, 品種の亜種区分などとの関係を調べた. 子実収量3000kg ha-1以上の多収を示した品種は, わが国のワセダイリュウ, サチホマレ, タチマサリ, ナカテユタカなど, 2亜種間の複交配によって育成された品種であった. これらの品種は, 分枝数の減少で茎系への乾物分配割合が低下し, 大粒化とあわせて, 高い粒茎比 (2~3) と収穫指数 (30~40%) を示した. これらの特性は, 早生性と立性の草型とともに, 亜種fastigiataの特性が大粒性品種 (亜種 hypogaea) との反復交配によってもたらされたと考えられ, 多収化における亜種fastigiataの寄与が認められた. そして, 落花生の"Ideotype"の特性として, 1株の1次分枝数が10本以下, 茎重は50g以下, 茎系乾物割合は20%以下, 子実100粒重は約70g以上で, かつ粒茎比が2~3以上となるような生育が必要であることが示唆された.