日本作物学会紀事
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アンモニア態窒素に対する水稲種子根の伸長反応の品種間比較
田中 実秋山内 章河野 恭廣
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1993 年 62 巻 2 号 p. 288-293

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抄録
植物の根の形態は養分条件によって変化する. この実験では, 水耕液中のアンモニア態窒素の濃度が水稲種子根の伸長に及ぼす影響を検討した. 耐肥性の異なる水稲10品種を30℃のグロースキャビネット中で, 春日井氏A液を用いて12日間生育させた. 先ず, 窒素濃度を0, 4, 40, 240mg L-1の4段階に設定した. 全ての品種の種子根は窒素濃度が上がるにつれて伸長は指数関数的に抑制された. その抑制反応は0~4mg L-1で発現し始め, 抑制程度も顕著であることを認めた. そこで, 窒素濃度を0, 0.4, 1, 2, 3, 4mg L-1と設定して再度実験を行った. その結果, 種子根の伸長は窒素濃度が上がるにつれて直線的に抑制された. そこで窒素濃度に対する種子根の伸長抑制程度を数値化し, 品種間比較を容易にするために, 窒素濃度と種子根長との関係を回帰直線式に整理した. それぞれの回帰直線の勾配の値は, 各品種の種子根の伸長の抑制程度を表しており, この値に明白な品種間差異が認められた. 勾配の値は, 耐肥性の小さい品種群に比べて耐肥性の大きな品種群で小さい傾向を認めた. また, 0mg L-1での種子根長にも同様の傾向を認めた.
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