抄録
昼間における大気の相対湿度が60% (低湿度区) と90% (高湿度区) の2区を, 気温24/20℃ (昼温/夜温) (低温), 28/24℃ (適温), 32/28℃ (やや高温), 36/32℃ (高温) のそれぞれの温度について設けた. これらの条件で5葉期の水稲を4日間水耕栽培し, 処理期間中の標識窒素 (15N) の吸収量を調べ, 窒素吸収に及ぼす大気湿度の影響を検討した. 1. 処理開始後4日間における個体当たりならびに各葉位葉および根部の乾物重増加量は一部の場合を除いて気温24/20℃と28/24℃では相対湿度90%区が60%区より多く, 32/28℃と36/32℃では60%区が90%区より多かった. 2. 個体当りならびに各葉位葉および根部の15N吸収量ならびに含有率は, 一部の場合を除いて気温24/20℃と28/24℃では相対湿度90%区が60%区より多く, 32/28℃と36/32℃では60%区が90%区より多かった. 以上から, 水稲幼植物の窒素吸収は大気湿度に影響され, その影響は温度によって異なることが明らかになった.