日本作物学会紀事
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荷重処理による数種マメ科作物芽ばえの伸長抑制, 肥大および内部形態の変化
鄭 紹輝陳 日斗井之上 準
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1993 年 62 巻 4 号 p. 502-508

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抄録
下胚軸伸長型のマメ科8種作物を供試して, 25℃暗黒条件下で芽ばえが長さ3cmに達した時に, 覆土を完全に除去し, 芽ばえの頂端部 (hookの頂部) から2mm間隔に墨で印を付け, 再び覆土した後, 一部の芽ばえには, その頂端部に軽く接触するように「ストッパー」で荷重をかけた. 荷重処理開始48時間後に, 芽ばえの伸長抑制および下胚軸肥大の程度を調査するとともに, 芽ばえの頂端部および最も肥大した部位の縦断および横断切片を作成し, 皮層, 維管束および髄組織の厚さ, および各組織の柔細胞の大きさを測定した. その結果, 無処理区に比較して, 芽ばえの伸長抑制の程度は作物によってやや異なったが, 頂端部から4mmまでの部位で伸長抑制が最も大きく, 基部に近い部位ほど小さかった. 一方, 伸長が抑制された部位では肥大が起こったが, 概して, その程度は伸長抑制の程度が大きい作物・部位ほど大きいようであった. なお, 縦断および横断切片についての調査結果から, 荷重処理によって引き起こされた芽ばえの伸長抑制および肥大は, 下胚軸を構成する皮層および髄組織の細胞分裂が影響を受けたことによるのではなく, 個々の細胞の伸長抑制および肥大によるものであった.
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