日平均気温に基づく水稲の発育段階予測法(DVI方式)を1株の植付本数の異なるコシヒカりの生育に適用し, 葉齢, 茎数, 1茎乾物重など生育の特徴を数学モデルを用いて明らかにした. DVI値と葉齢の間には曲線式がよく当てはまり, 1株の植付本数が多いものほど葉齢の進展が遅く, 主稈総葉数も1本植えと8本植えで約1.5葉の差異が認められた. DVI値と茎数の間には3次曲線がよく当てはまり, 1株の植付本数が多いものほど茎数が多く推移し, 推定有効分げつ終止期, 最高分げつ期ともに, 早くなった. また, 1, 2本植えでは幼穂形成期(DVI値=0,700)以降に最高分げつ期となった. 発育段階を揃えた場合には, 1茎乾物重と1穂頴花数との間には高い正の相関が認められた. 幼穂形成期以降は分げつの発生次位に関係なく1茎乾物重から1穂頴花数の推定が可能であるが, 幼穂形成期以前においては分げつの発生次位を考慮する必要があった. 主稈及び第4節位分げつの1茎乾物重の推移には生長曲線がよく当てはまり, 主稈及び第4節位分げつともに, 1株の植付本数が少ない場合には乾物重の増加が大きく, 逆に, 植付本数が多い場合には乾物重の増加が小さかった. 1穂頴花数水準別の1茎乾物重の推移には, 生長曲線がよく当てはまり, 1穂頴花数の少ないものほど発育段階の早い時期から乾物重が小さく推移した.