日本作物学会紀事
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寒冷地におけるスイートソルガム出穂期の年次変動と収量及び収量関連形質との関係
星川 清親中村 聡後藤 雄佐田中 正夫壁谷 雄一
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1994 年 63 巻 4 号 p. 610-615

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抄録

1991年にスイートソルガム14品種を用いて, 出穂期までの播種後日数(DAS-H)と収量及び収量に関与する諸形質との関係を調べた. さらにその中の8品種を1991年から3年間栽培し, 出穂期の年次変動, DAS-Hと収量との関係を解析した. 1991年の実験では, DAS-Hが多いほど, 茎乾物収量が多く, 品種間で直線的な関係が認められた. また, 収量に関与すると考えられる形質, つまり総葉数, 伸長節間数, 茎長, 茎直径についても同様な関係が認められた. 3年間の実験の結果, DAS-Hは, 品種によっては年ごとに大きく変動した. 例えばWrayの出穂期は, 1991年ではDAS-H88(8月31日, 1993年ではDAS-H125(10月5日)で, 播種後日数にして37日の差があった. これを出穂期までの積算温度(CAT-H)でみても同様で, 1991年と1993年とで585度日の差があった. また, 各品種をDAS-H順に並べると, その順位も年により変動し, 一部の品種では早生か晩生かを決定できないものもあった. すなわち, 1992年では中生品種と位置付けられるRio, Keller, Wrayは1991年では早生品種, 1993年では晩生品種に位置づけられる結果となった. 品種によって出穂期の年次変動が大きく, しかも収量及び収量関連形質の年次変動と異なるために, 3年間を通してみると, DAS-H (CAT-H)収量, または収量関連形質との相関は低かった. しかし, 年ごとのDAS-Hと収量または収量に関与する形質との間には, 高い正の相関が認められた.

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