抄録
東北農試育成の30品種・系統と外国30品種のコムギを同一条件で栽培し, 製粉性について調査した. 粉の比表面積によって小と大の二つのグループに分けられた. 比表面積小のグループは粉の粒が粗く, 製粉性が高く, 比表面積大のグループは粉の粒が細かく, 製粉性が低く, それぞれ硬質コムギと軟質コムギと推察される. ブラベンダーテストミルのA粉割合によっても同じ2群に分けられ, A粉割合の高いグループは硬質コムギと, A粉割合の低いグループは軟質コムギと一致した. すなわち, A粉割合でコムギの硬軟質性が分類できることが明らかになった. 比表面積から製粉性3形質を求める回帰係数は, 軟質コムギが硬質コムギに比べ大きいことから, 比表面積による製粉性改善の効果は, 軟質コムギで大きいと推察される. 硬質コムギと軟質コムギの製粉性は非連続的に分布することから, 製粉性は質的に異なる遣伝的支配を受けていると考えられる. そのため, 品種の製粉性は, 硬質と軟質コムギに分けて比較する必要がある.