抄録
水田転換畑ダイズの多収化技術の基礎的知見を得るために, ライシメータを用いて地下水位を制御し, その高低 (15cm~100cm一定あるいは変動, 無潅水) がダイズの生育・収量に及ぼす影響について解析した. 試験は茨城県つくば市では気象条件が異なる2ヵ年 (1991年:多雨, 1992年:少雨)および1992年にはつくば市, 広島県福山市の2ヵ年において行った. その結果, (1) 葉の葉緑素含量は葉位で反応が異なり, 主茎下位葉では地下水位が低い場合に高かった. 上位葉では降雨条件によって異なり, 多雨年には低い地下水位で高く, 少雨年には40cm区で最も高く, それよりも上下の地下水位ではやや低かった. (2) 土壌各層の根長密度も地下水位に影響され, 70 cm区では土壌表層と地下水位面付近の2ヵ年所で大きかったが, 20, 40 cm 区では土壌表層のみで大きかった. (3) 収量は降雨条件に左右され, 多雨年は70 cm区で, 少雨年は40 cm区において最も多収であった. また, 地下水位の変動処理は減収を招いた. 収量構成要素は処理によって稔実莢数が最も大きく変動し, ついで百粒重もかなり変動したが, 一莢内粒数は比較的安定していた. このように, 地下水位がダイズの生育・収量に及ぼす影響は降雨条件によって異なることが示唆されるので, 降雨条件に応じて地下水位を一定に維持することがダイズの安定多収に重要であることが示された.