抄録
ペチュニアとイネのプロトプラストを用いて, 走査電子顕微鏡の試料調製法の検討を行った. アルコール脱水処理中に生じるプロトプラストの形状変化を軽減するための固定条件を調査した. その結果, 固定条件の違いにより, 脱水処理により生じるプロトプラストの体積の減少にかなりの差が認められ, グルタルアルデヒド固定, グルタルアルデヒド・オスミウム固定, グルタルアルデヒド・タンニン酸・オスミウム固定の順に, 体積の減少が少なくなった. グルタルアルデヒド単独固定の場合に, ペチュニア葉由来プロトプラストの葉緑体の緑色は, アルコール脱水により脱色した. グルタルアルデヒド・タンニン酸・オスミウムで固定すると, ペチュニアとイネのプロトプラストの良く保存された走査電子顕微鏡像が得られた.