抄録
成木茶園における秋冬期の光合成に有効な葉層の厚さを明らかにする目的で, 晩秋期に群落光合成の解析を行った. 茶株内の相対照度は指数関数的に減衰し, 表層下1Ocmでは1%以下となった. 樹冠内の下層部に位置する葉は, 弱光に適応した陰葉的特性を示した. 樹冠内での光分布と各葉の光一光合成曲線に基づいて計算した群落光合成の推定値から, 群落光合成の大部分は株表層葉によって行われること, 及び表層下1O cmに位置する葉は光補償点近辺の光しか受け取れないことが分かった. 次ぎに茶株全体に13CO2を同化させた後, レール走行式摘採機を利用して葉層の層別刈り取りを行い, 13C固定量から葉層別の光合成能力を直接的に求めた. その結果, 群落光合成の85%は表層下5 cmまでの葉層で行われること, 表層下10 cm以下の葉層が群落光合成に寄与する割合は3%以下であることが明らかとなった. 以上より, 芽の生長が休止している秋冬期の成木茶園における光合成に有効な葉層の厚さは約1Ocmと結論された.