抄録
オオムギ体内のフルクタンと耐雪性との関連について明らかにするために, 3℃・暗黒下およびその後の20℃・自然光下におけるフルククン含有率とフルクタン分解酵素活性の変化を調査した. 低温暗黒下ではフルクタン含有率は減少したが, フレイン(β-2,6フルクタン)分解酵素およびイヌリン(β-2,1フルクタン)分解酵素活性は一定値を維持し変化が認められなかった. イヌリン分解酵素はフレイン分解酵素より活性が高かった. その後の20℃・自然光下においては, フレイン分解酵素活性は急激に増加した後減少した. イヌリン分解酵素活性は低くほとんど変化しなかった. フルクタン含有率はフレイン分解酵素活性と対称的な変化を示した. 以上より, 低温暗黒下においては構成酵素としての性質をもつイヌリン分解構成酵素が, その後の20℃・自然光下においては, 誘導酵素としての性質をもつフレイン分解酵素が主にフルクタンに作用するものと考えられた. さらに, 耐雪性に関連する両酵素およびフルクタンについて論議した.