日本作物学会紀事
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線虫対抗植物ルドベキア(Rudbeckia hirta L.)における毛状根からの植物体の再分化とチオフェンの産生
大門 弘幸三位 正洋
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1995 年 64 巻 3 号 p. 650-655

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抄録
土壌中に生息する植物寄生性有害線虫の密度低減に効果があるとされるルドベキア(Rudbeckia hirta L.)において, Agrobacterium rhizogenesの野生菌株(A-5株)を感染させることによって毛状根を誘導した. 毛状根は, 無機塩濃度を1/2に減じた植物ホルモンを含まないMS寒天培地上で分岐を繰り返しながら旺盛に生育した. 誘導された毛状根の磨砕液を濾紙電気泳動にかけてオパインの検出を行ったところ, 供試菌株に特有のオパインであるミキモピンが検出され, これらの根が形質転換されたものであることが確認された. 毛状根をBAP(0.5または1.0mg/l)およびNAA(0.1mg/l)を添加した無機塩濃度を1/2に減じたMS寒天培地に移植したところ, 移植後30~50日目に毛状根の表面に形成されたカルス上に高頻度(47~73%)に不定芽が誘導された. 誘導された不定芽は植物ホルモンを含まないHYPONEX培地上で容易に発根した. 得られた再分化植物を温室内で生育させたところ, 毛状根由来植物に特徴的な形態である, 葉の波打ち, 花の小型化, 分岐根の旺盛な発達が認められた. 再分化植物の根において, 殺線虫物質チオフェンの一つであるα-ターテニールが検出された.
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