日本作物学会紀事
Online ISSN : 1349-0990
Print ISSN : 0011-1848
ISSN-L : 0011-1848
水稲の葉半における葉色と窒素濃度の葉位間変動の規則性 : 第1報 葉色の変動と葉の形態形成機構
三本 弘乗今井 清之大門 弘幸大江 真道
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 64 巻 4 号 p. 726-733

詳細
抄録
葉緑素計を用いて葉色を測定する場合には, その値が最も安定している最上位展開葉の下の第2葉の葉身の中央で, 中肋をはずした部位が適切とされている. その際に, 左・右葉半における葉色の差異を考慮にいれて測定しているという報告は極めて少ない. 左・右葉半における葉色の差異はミノルタ葉緑素計SPAD-502による測定値で1.3~5.4(窒素含有率で約0.1~0.5%)と意外に大きく, 無視できないことを日米の6品種を供試して明らかにした. また, この葉半間における葉色の差異をみると, その葉の葉鞘の葉縁が外側になっている葉半側(外葉半)で葉色が濃く, 葉幅が狭いことを明らかにした. 各葉を葉位ごとに葉の表の側からみた場合に, 葉色の濃い葉半側(または葉色の淡い葉半側)は, 従来葉の巻性の葉位において認められている交互性と同じように左右交互に規則正しく配列していることを認めた. 第n葉は前の葉の第n-1葉に同調して外(または内)葉半が決まるが, 従来の報告と同様に第3葉以上から同調傾向が現れ, 同調率は下位葉で低く, 上位葉になるにつれて高くなり, 本実験では第6~第7葉以上で約100%の同調率となった. また第3葉の左(または右)が外(または内)葉半になる確率は約50%で, 全く偶発的に決まるとみられるが, 発芽の際に遠心力等の外的なカを加えると, カのかかった側が外葉半になる確率が高くなることを明らかにした.
著者関連情報
© 日本作物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top