抄録
水田転換畑(細粒グライ土)において, 新旧ダイズ4品種を栽培し, 子実肥大開始期から成熟期にかけて地上部の器官別乾物重と窒素含量の推移を1週間毎に調査した. 子実肥大期間中の地上部乾物重と全窒素含量(Ntop)の増加量および子実収量は, いずれも新品種の'エンレイ'および'タチナガハ'が旧品種の'赤莢'および'みずくぐり'よりも優れていた. 子実の窒素含量が地上部窒素含量に占める割合(Nseed/Ntop)は, 子実肥大開始後の日数経過とともに直線的に増加し, 一方葉身窒素含量の地上部窒素含量に占める割合(Nleaf/Ntop)は直線的に減少した. これらの面での品種間差異は小さかった. 子実肥大期間中の葉身保有窒素量は主に個体の全窒素蓄積量に依存しており, 成熟期におけるNseed/Ntopが窒素収量や子実収量におよぼす影響も小さかった. 以上のように, 本実験でみとめられた子実生産力の新旧品種間差異には, 子実肥大期間における窒素蓄積活性がその分配様式よりも強く関与していた.