論文ID: JJAM-2017-0033
目 的
本研究の目的は,出産後に仕事へ復帰した女性が,働きながら母乳育児を継続した体験を記述することである。
対象と方法
都市部にある助産院2か所に研究協力を依頼した。出産後に母乳育児を行い,復帰前に母乳育児継続を希望し仕事または学業に復帰した女性10名を対象とし,フォーカス・グループ・インタビューによりデータを収集した。内容分析の方法を参考に質的記述的に分析した。
結 果
研究参加者の年代は20歳代から40歳代で,出産後に仕事に復帰した人は8名,学業に復帰した人が2名であった。復帰時期は出産後2か月から10か月であった。復帰前の授乳方法は,母乳栄養が9名,混合栄養が1名であり,復帰後は母乳栄養が4名,混合栄養が6名であった。
データから200のコードが抽出され,61のサブカテゴリ,17のカテゴリが抽出された。出産後,仕事へ復帰した女性が働きながら母乳育児を継続した体験として,【母親として選択した復帰後の母乳育児継続】,【復帰後の母乳育児を見越しての準備や調整】,【母乳育児継続のサポーターの存在】,【生活の一部として続ける母乳育児】,【折り合いをつけていく様々な障壁】,【母乳育児に対する価値観とスタンス】,【子どものうれしさが自分にとってのうれしさになる】という7つのコアカテゴリが抽出された。
結 論
女性は仕事や学業へ復帰するにあたり,母親としてできることとして母乳育児を継続することを選択し,様々な体験をしながら母乳育児を継続していた。助産師は,出産後に復帰する女性がこのような体験をしていることを理解して支援していく必要があることが示唆された。