抄録
6種のマメ科作物, すなわち, ヒヨコマメ(Cicer arietinum L.), ササゲ(Vigna unguiculata (L.) Walp.), ガラスマメ(Lathyrus sativus L.), レンズマメ(Lens culinaris Medik.), リョクトウ(Vigna mungo (L.) Hepper), ケツルアズキ(Vigna radiata (L.) Wilczek)の, 合計114品種・系統を対象に, 根系構造における種間, 種内変異を評価する目的で, グロースポーチ法によって10日間生育させた幼植物の根および地上部の計11形質を主成分分析法によって解析した. その結果, 根系構造は基本的に主根・側根長および側根発生密度によって規定されることが明らかとなり, これらの形質において種間で有意な差異が認められた. ヒヨコマメは個々の側根が長いことによって, ササゲは側根の発生数が多いことによって, 相対的に大きな根系を形成した. ガラスマメの側根長も比較的長かった. それに対し, レンズマメでは側根発生数が少なく, また, リョクトウとケツルアズキは側根が短く, それぞれ相対的に小さい根系を形成した. 各種内における変異も認められ, とくにササゲとヒヨコマメで大きかった. また, これまで高収量性, 強耐旱性, あるいは深根性と報告されてきた品種・系統は, 各種内で相対的に大きな根系を形成した. さらに, 各種より数品種・系統を選び, 円筒を用い土壌中で28~44日間生育させた. これによって得た根系諸形質の値と, グロースポーチ法で得られた値との間には高い正の相関関係が認められ, グロースポーチ法は根系形質に注目した選抜によって有効である可能性が示された.