日本作物学会紀事
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春播コムギの登熱機構の解明 : 第5報 登熟相別にみた生長および同化産物蓄積による品種間差異の評価
高橋 肇, 永尾 浩司, 板垣 洋, 土橋 直之, 中世古 公男
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1996 年 65 巻 2 号 p. 282-288

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抄録
春播コムギ3品種の品種間差異を評価するにあたり, 回帰式を用いた分析が4つの登熟相において行われた. 北海道で育成された早生で半矮性品種のハルユタカ, 九州で育成された早生で半矮性品種の農林61号およびドイツで育成された晩生で長稈のSelpekの3品種を用い, 登熟期間を通じて連日サンプルを採取して, 全乾物重, 穂重, 稈の可溶性炭水化物含有量(WSC)および稈の構造物質重を測定した. これら乾物重の推移から4つの登熟相を決定し, 各登熟相について開花後日数に対する乾物重の回帰式を決定した. これら回帰式を用いた分析から, 3品種の生理的特徴を次のように評価した. ハルユタカでは, 稈構造物質が登熟初期に急速に生長し, さらに稈のWSCが光合成停止期に至るまで高く維持された. このWSCは他の2品種よりも長い登熟末期において子実へと急速に転流した. 農林61号では, WSCが長い登熟前期においてゆるやかな速度で稈に蓄積し, 子実生長速度が登熟期間に至っても他の2品種と異なり高い値を示した. Selpekでは, 稈の構造物質が3品種中最も長い登熟初期においてゆるやかに生長し, 登熟前期では子実生長速度および稈のWSCの蓄積速度がとしこ高い値を示した. 回帰式を利用したこの解析方法は, 品種の生理的特徴によって地域レベルでの収量性を評価するのに役立つものと思われた.
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