抄録
植物根と糸状菌の共生組織であるアーブスキュラー菌根の分布を, 生育初期のラッカセイ(Arachis hypogaea L.)根系で調査した. アーブスキュラー菌根菌(Gigaspora margarita Becker & Hall)を非滅菌土壌へ均一に接種し, その土壌を充填した根箱を用いてラッカセイを自然光型グロースキャビネット内でl6日間生育させた. 形成された菌根部位の全長の66%は1次側根上で認められ, 残りは2次側根で形成された. 一方, 主根においては菌根形成はほとんど認められなかった. 1次側根軸上での菌根形成の頻度は, 根端に向かって向頂的に増加することが明らかとなり, 特にその傾向は, 主根軸の基部側から発生した比較的エイジの進んだ1次側根において顕著であった. そのエイジの進んだ1次側根では, 根端に最も近い部位において菌根の形成数は最大であったが, 比較的長い菌根部位の多くはそこからやや基部寄りで形成されていた. しかし, 主根軸のより根端側から発生したより若い側根では, そのような向頂的に増加する分布パターンは次第に不明瞭となった. 以上のことから, 1次側根に形成される菌根の分布やその発達は, 主根軸に沿った側根の発生位置と密接に関連することが明らかとなった.