日本稲の高温不稔の発生条件を知るために, 開花期の昼温が日本型の水稲品種アキヒカリ, およびコシヒカリの受精に及ぼす影響および開花期の昼間の湿度・風速が高温条件下でアキヒカリの稔実に及ぼす影響を明らかにした. 昼間6時間の高温処理で50%の不稔を生じる気温はアキヒカリで36.5℃, コシヒカリで38.5℃と品種間に約2℃の差がみられた. コシヒカリは高温条件下で柱頭に多くの花粉を付着させる能力をもち, このことがコシヒカリの高温耐性を高めていた. 一方, 昼温37.5℃の条件下で, 風速0.85ms-1以上の風は50%も稔実率を低下させることが示された. また, 相対湿度は45%~80%の範囲で高いほど稔実率は低下した. 高湿度や風は柱頭に付着する花粉粒数の減少を通じて受精率を低下させていた.