日本作物学会紀事
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66 巻, 3 号
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  • 杜 冠華, 小川 正則, 安藤 定美, 続 栄治, 村山 盛一
    1997 年 66 巻 3 号 p. 369-373
    発行日: 1997/09/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    木酢液と木炭の混合物 (木酢液1:木炭4;以下サンネッカEと略称) の作物に対する作用機作を明らかにする目的のもとに, メロン果実のスクロース蓄積とこれの合成に関与するスクロースリン酸合成酵素 (以下, SPSと略称) の活性に及ぼすサンネッカEの影響を検討した. 実験は1990年から1995年までの4年間に5回行った. いずれの実験とも, サンネッカEの施用で成熟果実のスクロース含量が増加する傾向を示した. SPS活性はサンネッカEの施用, 無施用にかかわらず果実の成熟に伴い増大するが, その程度は前者が後者を上回るものであった. サンネッカEの施用はメロン果実のSPS活性を高め, これによってグルコースおよびフルクトースからスクロースへの合成は促進され, その結果スクロース含量が増加するものと推察された.
  • 磯部 勝孝, 坪木 良雄
    1997 年 66 巻 3 号 p. 374-380
    発行日: 1997/09/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    Arbuscular菌根菌をインゲンマメ栽培に利用するため, 品種「どじょう」と「セリーナ」を用いて, 土壌中の有効態リン含有量(ブレイ第2法にて測定)と菌根菌の関係ならびにインゲンマメの生育に対する菌株間の比較をおこなった. 得られた結果は, 以下の通りである. 播種時の有効態リン含有量が2.5 mg/100gになるとArbuscuIar菌根菌の感染が抑制され, 4.1 mg/100gではArbuscular菌根菌を接種してもインゲンマメの生育はあまりかわらなかった. このことから黒ボク土壌でインゲンマメ栽培にArbuscular菌根菌を利用するには, 播種時の有効態リン含有量が, 4.1 mg/100g以下であることが必要と思われた. 2種類のArbuscular菌根菌をインゲンマメに接種したところ, Gigaspora margarita, Glomus sp. (y) ともに接種胞子数が多くなるほどインゲンマメの生育はよくなかった. しかし, Gigaspora margarita と Glomus sp.(y)では, Glomus sp.(y) のほうが生育初期における感染率が高く, インゲンマメの生育もよかった. このことから, インゲンマメには Gigaspora margarita より Glomus sp.(y) のほうが, より有効な菌と思われた.
  • 山下 正隆, 武弓 利雄, 佐波 哲次
    1997 年 66 巻 3 号 p. 381-385
    発行日: 1997/09/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    成木茶園において夏, 秋季の断根処理が翌年以降の二, 三番茶の新芽生育, 収量に及ぼす影響を検討した. 断根処理を行わなかった対照区では, ニ番茶, 三番茶とも芽数および芽重の年次変動は比較的小さく, 収量も安定していた. 慣行的な処理の組み合わせである8月下旬I区では, ニ番茶, 三番茶とも収量の年次変動は小さく, 対照区と大差ない収量を維持した. 9月下旬I区での二番茶は1年目に約10%減少したが, 2年目以降は芽重の減少を伴うことなく芽数が増加し, 増収傾向を示した. 断根と同時に葉層を除去した8月下旬II区, 9月下旬II区の場合には二番茶, 三番茶とも1年目に大きく減収し, 2年目以降徐々に回復したが, 4年目まで対照区を下回った. 以上の結果から, 成木茶樹における断根処理が二番茶, 三番茶の生育, 収量に及ぼす影響は一番茶に比べて弱いといえる. しかし, 断根処理の方法によっては二番茶あるいは三番茶の生育, 収量まで影響が及ぶことから, 夏茶期に対しても樹勢更新処理としての断根処理の有効性と適切な処理の必要性が立証された.
  • 尹 祥翼, 和田 義春, 前田 忠信, 三浦 邦夫, 渡邊 和之
    1997 年 66 巻 3 号 p. 386-393
    発行日: 1997/09/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    直播や畑栽培に適した多収性イネ品種開発の基礎資料を得るため, 既存の多収性品種である日印交雑品種(統一系品種)の直播・畑栽培適性を調査した. 1994年と1995年の2か年にわたり圃場試験を行い, 畑に直播した畑直播 (DU) 区, 乾田に直播し出芽後入水した乾田直播 (DL) 区および対照として水田移植 (TL) 区を設け, 日印交雑水稲 Suweon 287 と Suweon 290 の生育と収量を熟期の比較的近い日本の水稲コシヒカリ, 陸稲トヨハタモチと比較した. 直播区における日印交雑品種の出芽は, 2か年を通じて日本型水・陸稲より安定して高かった. 直播下ではいずれの品種もTL区に比し最高分げつ期, 開花期が1~2週間遅延した. 開花期の草丈はDU区で高くなったが, 伸長程度は日本型品種では大, 日印交雑品種では小であリ, 特に日印交雑品種は下位節間長が短かった. 開花期までの乾物生産は, 年次・品種を通じて DU>TL>DL の順どなった. 開花後の乾物生産はTL区で最も高く, コシヒカリは DU 区で, トヨハタモチは DL 区で著しく小となった. 日印交雑品種は直播条件下でも低下が小さく, 開花後の乾物生産が高かった. 収量は, 日印交雑品種が年次間変動はあるものの直播や畑栽培の下で日本型品種より高くなった. これは, 日印交雑品種は直播や畑栽培条件下でも大きなシンクを確保し, さらに同一のシンクサイズの下では日本型品種より高い登熟歩合を維持したためであった. 以上のように, 日印交雑品種は直播や畑栽培に対し高い適性を持っており, 今後の直播用品種や陸稲品種の改良のために有用な形質を持つと判断された.
  • 森田 敏, 松葉 捷也
    1997 年 66 巻 3 号 p. 394-401
    発行日: 1997/09/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    茎葉生育の規則性を明らかにするために, 水稲品種コシヒカリ及び日本晴を用いて, 同一栽培条件下における主稈の出葉の遅速と地上部諸器官長との関係を調べた.その結果, 第1に, 総葉数が16の主稈において, 第14葉の出葉日の分布と, 第15, 第16葉身長, 第14, 第15葉鞘長及び穂長との間にそれぞれ強い負の相関を認めた. また, 第14葉の出葉日の分布とIV, V節間長との間に強い正の相関を認めた. 第2に, 総葉数が17の主稈は16の主稈より第14葉の出葉日が早く, かつ求頂的にみて同じ葉(節)位の上位葉身長が大きく, 下位節間長が小さいことを認めた. 第3に, 総葉数が同じ場合, 最長葉身の葉位が相対的に上位にある主稈では, 下位にある主稈より, 第14葉の出葉日が早く, かつ上位葉身長が大きく, 下位節間長が小さい傾向を認めた. なお, 第14葉の出葉日が同じグループ内で両者を比較しても, 前者は後者より, 上位葉身長が大きく, 下位節間長が小さい傾向を認めた.
  • 鄭 紹輝, 壇 和弘, 井之上 凖
    1997 年 66 巻 3 号 p. 402-406
    発行日: 1997/09/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    ダイズの芽ばえの出芽過程においてエチレン発生量の多少が出芽にどのように関わっているかを明らかにする目的で, 粒重の異なる中・晩生のダイズ51品種を用いて, 25℃暗黒条件下で育てた長さ3cmの芽ばえからのエチレン発生量をガスクロマトグラフで測定し, エチレン発生量の多少と芽ばえ下胚軸の伸長, 肥大および出芽速度の関係について検討を行った. その結果, 芽ばえからのエチレン発生量 (1個体, 48時間当り) は品種によって5~84 nL と大きく異なり, 粒重が大きい品種ほど発生量は多かった. また, エチレン発生量の差異は特に粒重約200mgの品種間では大きかった. 一方, 土壌抵抗を想定して芽ばえの頂部に荷重をかけた場合のエチレン発生量は, 品種によって無荷重区より1.1~12.9倍に増大し, その程度は無荷重区でエチレン発生量が少ない小粒の品種ほど大きかった. 本実験に供したほとんどの品種においては, エチレン発生量が多い品種ほど, 下胚軸が太く芽ばえが土壌抵抗を受けた場合の抽出力が強いと考えられたが, 無荷重区では芽ばえ下胚軸の伸長が遅く, 出芽まで時間が長かった. ところが, 一部の品種では荷重条件下で芽ばえからのエチレン発生量が多く, 下胚軸がかなり太かったにもかかわらず, 覆土無鎮圧の条件下で播種から出芽までの時間が比較的短かった. 後者の品種の芽ばえは下胚軸が太くて伸長が速い特性を有しており, 覆土条件に対応して出芽する能力が優れた品種であると思われる.
  • アロティ ダニエル フランシス パポ, 堀内 孝次, 宮川 修一
    1997 年 66 巻 3 号 p. 407-417
    発行日: 1997/09/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    異なる4生育段階の緑肥ダイズを微生物資材との併用条件下で施用した場合のソバの生育と栽培期間中の体内養分(N, P, K, Ca, Mg)変動について検討した. 相対養分吸収率(RUR)は全ての栄養素で相対生長率(RGR)と正の相関を示したが, 回帰係数間には有意差はなく, いずれのRURも微生物資材を併用したNの場合を除いてRGRより低かった. 微生物資材投与の有無に関係なくNとP, K, Ca, MgとのRUR間には高い正相関がみられた. また低い養分利用率に関わらず, 養分吸収指数は高かった. ソバの収量については微生物資材を併用したダイズ若莢収穫初期の莢収穫後個体の緑肥施用で開花時個体施用の場合と同様の収量が得られた.
  • 泉 泰弘, 河野 恭廣, 山内 章, 飯嶋 盛雄
    1997 年 66 巻 3 号 p. 418-426
    発行日: 1997/09/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    畑地区 (週1回潅水) と湛水区 (常時湛水) という2つの実験区を設け, 改良根箱法によって水稲7品種を3週間生育させた後に根系を採取し, とくに種子根系 (種子根軸とそこから発生している側根) を調査対象として, 側根の発生と発達によって規定される形態 (根系構造) の定量的解析を行った. そして, 種子根系の形態的特徴を品種間および処理区間で比較することによって, 根系発達における品種間差異ならびに土壌水分の及ぼす影響を把握しようと試みた. なお根系構造の評価には, 根数や根長といった発育学的形質の測定と併せて, 数学的な解析法 (トポロジー解析, フラクタル解析, 幾何学的解析) も採用した. 根系発達様式は畑地区では側根の分枝, 湛水区では側根の伸長が優先されており全く異なっていた. また総根長にみられる品種間差異は, 主に畑地区では総根数の違い, 湛水区では平均外部リンク長の違い (平均側根長を反映), すなわちそれぞれの区での根系発達において比重が置かれていた点での変異に起因していた. 数学的解析による指標を用いて, 品種間や処理区間における根系の形態的特徴を把握できる可能性を認めたが, 同時に根系構造を正確に評価するためには, トポロジー指数と発根密度を用いて "根系分枝の複雑さ" を分枝の高次化の程度と発生頻度の両面から捉えること, 必ずしも一定ではないフラクタル次元の内包する意味を根系の発達様式に応じて解釈することが必要であることも明らかとなった.
  • 泉 泰弘, 河野 恭廣, 山内 章, 飯嶋 盛雄
    1997 年 66 巻 3 号 p. 427-435
    発行日: 1997/09/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    水稲の根系構造 (側根の発生と発達によって規定される形態) における遺伝子型変異を明らかにするため, 生育環境の単純化が可能なインビトロ培養法を用い, 種子根系 (種子根軸と側根) の発達を生態型の異なる7品種間で比較した. 遺伝子型変異を複数の生育条件下で総合的に評価するため, 培地の窒素源・地上部の有無という2因子を組み合わせた4つの培養条件区を設けた. 3週間培養した後に種子根系を採取し, 発育学的解析 (根数・根長など), トポロジー解析および幾何学的解析を行った. まず, 各種培養条件に対する根系発達の反応を調査したが, とくに1次側根のL型とS型では反応が全く異なることや, 根系サイズが培地の窒素源の違いと地上部の有無の両者によって影響されるのに対して, 分枝パターンは主に前者によって支配され, 後者の影響は比較的小さいことが注目された. 続いて遣伝子型変異について考察したが, 培養種子根系の発達は区間で非常に大きい多様性を示したため, 品種間差異についても全ての区に共通する傾向を見い出すことは困難であった. しかし, 根系サイズや応答反応の違いなどによって, 各水稲品種の根系発達様式を生態型ごとに特徴づけ, 分類することは可能であった. 培養条件下での品種比較においては, 土壌栽培条件下で比較を行った場合よりも明確な遺伝子型変異を検出することが可能であったことから, 本研究は根系構造に注目して選抜を行う場合に, インビトロ培養法が有効である可能性を示したものといえる.
  • 伊藤 松雄, 高橋 道彦
    1997 年 66 巻 3 号 p. 436-441
    発行日: 1997/09/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    1994年と1995年に岡山県倉敷市にあるスズメノテッポウが優占する不耕起乾田直播水田において, 水稲(品種アケボノ)の生育と収量に及ぼす冬雑草の影響を調査した. 水稲の生育は冬雑草によって著しく抑制され, またその単位面積当たりの穎花数も著しく減少した. 冬雑草の存在により水稲の穎花数が制限されたために登熟歩合は高くなったものの, 収量では12.6からl5.6%の減収となった. 除草区および雑草区ともに藁重が増大するにつれて収量も増大したが, その様式は異なった. 除草区の水稲では藁重の増加が穎花数を増加させ, 雑草区の水稲では藁重の増加により登熟歩合が増大した. また, 施肥量の増加によって雑草区の水稲の生育ならびに減収が改善されたことから, 施肥量を増大することによって冬雑草防除のための除草剤の処理回数を減少させうる可能性が示唆された.
  • 許 , 金 容基
    1997 年 66 巻 3 号 p. 442-448
    発行日: 1997/09/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    乾田直播栽培におけるイネの生理生態的特性を究明するために, 稲品種花成を乾田直播と機械移植栽培条件で栽培し, 生育時期別にその生育および生理生態特性を比較調査した. 乾田直播したイネの草丈は分げつ期までは移植水稲より短いが, 分げつ期から出穂10日前までは乾田直播の方がまさる傾向となった. また分げつ期以後の茎数は乾田直播栽培で多かった. 乾田直播稲の単葉の光合成能力と呼吸量は機械移植より低く推移し, 出穂15日前にその差がもっとも大きかったが, 出穂以後にはほとんど差がなかった. 葉身の葉緑素含量と根の生理的活力は出穂以前までは乾田直播が機械移植よりやや低かったが出穂15日後にはかえってまさる傾向を示した. 上位葉の気孔抵抗は分げつ期から出穂期までは乾田直播栽培が高かったが出穂後15日には機械移植で高くなる傾向がみられた. 葉面積比率は分げつ期から出穂前15日までは機械移植で, 出穂以後は乾田直播で高かった. 収穫期の葉伸長および稈の節間長は止葉と上位部1節間を除いて乾田直播で機械移植栽培より長かった. 収穫期の葉伸長および稈の節間長は止葉と上位部1節間を除いて乾田直播で機械移植栽培より長かった. 地上部の生産構造をみると, 乾田直播が機械移植栽培より同化部位が上位部に多く分布し, 反面非同化部位は下位部で分布が少ない特性を示した. また乾田直播栽培では分げつ期から出穂期にかけてのCGR, RGR, NAR, LAIが高い値を示し, また1穂穎花数も多く, もみ収量, 登熟歩合が高い特性を示した.
  • 松井 勤, 大政 謙次, 堀江 武
    1997 年 66 巻 3 号 p. 449-455
    発行日: 1997/09/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    日本稲の高温不稔の発生条件を知るために, 開花期の昼温が日本型の水稲品種アキヒカリ, およびコシヒカリの受精に及ぼす影響および開花期の昼間の湿度・風速が高温条件下でアキヒカリの稔実に及ぼす影響を明らかにした. 昼間6時間の高温処理で50%の不稔を生じる気温はアキヒカリで36.5℃, コシヒカリで38.5℃と品種間に約2℃の差がみられた. コシヒカリは高温条件下で柱頭に多くの花粉を付着させる能力をもち, このことがコシヒカリの高温耐性を高めていた. 一方, 昼温37.5℃の条件下で, 風速0.85ms-1以上の風は50%も稔実率を低下させることが示された. また, 相対湿度は45%~80%の範囲で高いほど稔実率は低下した. 高湿度や風は柱頭に付着する花粉粒数の減少を通じて受精率を低下させていた.
  • MASTUTI Retno, 三宅 博, 谷口 武, 武岡 洋治
    1997 年 66 巻 3 号 p. 456-465
    発行日: 1997/09/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    ケイトウ(C3植物)の懸濁培養細胞由来プロトプラストとハゲイトウ(C4植物)の子葉由来プロトプラストを電気的に融合させ, 体細胞属間雑種カルスを得た. ケイトウのプロトプラストは容易にカルスを形成したが, ハゲイトウのプロトプラストは分裂活性が低かった. 最も高い2細胞性の融合は, 0.4Mのソルビトールと2.0mMのCaCl2を含む溶液中で, 交流電場(200V/cm, 0.5MHz)で30秒間プロトプラストを配列させた後, 1600 V/cmの矩形直流パルスで40μ秒処理した場合に得られ, 融合率は4~5%であった. 雑種細胞は, 子葉プロトプラスト由来の葉緑体あるいはピンク色のプラスチドと, 培養細胞プロトプラスト由来の密な白色の細胞質が共存することにより同定できた. ケイトウのプロトプラスト由来のカルスは柔らかく, またハゲイトウのプロトプラストはカルスを形成しないので, 増殖培地上に現れた堅いカルスを分離することにより, 人為的選抜処理を行うことなく雑種カルスを分離することができた. 合計14系統の体細胞雑種カルスを分離し, 酸性フォスファターゼのアイソザイムパターンより, カルスの雑種性を確認した. さらにカルスの形態を走査型電子顕微鏡で観察した.
  • 後藤 Juliarni 雄佐, 中村 貞二, 高橋 清, 星川 清親
    1997 年 66 巻 3 号 p. 466-471
    発行日: 1997/09/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    アピオス(アメリカホドイモ)における,「いも」の形成過程を調べた. まず, 肥大する部分の組織形態から「いも」となる器官が根ではなく, 地下茎であることを確認した. 地下茎には多くの節があり, それぞれの節には鱗片葉と腋芽, および托葉に相当する器官がみられた. 地下茎の先端部は釣り針のような形態を呈していた. 地下茎の肥大が最初に観察されたのは植え付け後8週目であった. 肥大は地下茎の基部付近の節間から始まり茎頂に向かって各節間で起こった. 地下茎の最も基部側で肥大していた節間は第1節間から第4節間のいずれかであった. 個々の「いも」は原則として, 1つの節とその基部側の1つの節間が肥大したものであった. 地下茎の伸長および肥大の過程で地下茎の腋芽が伸長し, 地下茎が枝分かれすることもあった. 節間の肥大過程の観察を基に, 塊茎の形成過程を「塊茎の形成開始」, 「肥大範囲の拡大」, および「塊茎の肥大」の3つの生育段階に分けた. 塊茎の形成開始は腋芽着生節の基部側の節間が膨らみ始めることで確認できる. 続いて膨らみの範囲が基部側に拡大する. 塊茎が形成される範囲は, 節間全体ではなく, 根の出現している範囲とほぼ一致し, 節間の20~50%を占めた. 膨らむ範囲がほぼ決まる頃から, その部分で急速に肥大が進む. ポット栽培で肥大過程の観察に用いた地下茎の節間の長さは6~11cmであった. 圃場栽培のものには希に短い2~3cmの節間が存在し, その節間の全域が肥大し, 隣接する節間が融合した塊茎となることもあった.
  • 山下 正隆, 武弓 利雄, 佐波 哲次
    1997 年 66 巻 3 号 p. 472-478
    発行日: 1997/09/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    わが国におけるチャの育苗は挿し木による栄養繁殖がほとんどである. 挿し木個体の根系は不定根と側根により構成されるが, これらの根のほとんどは水平方向に伸長し, 根系の分布を浅くしている. このような挿し木によるチャの根系の浅根化は養分吸収効率, 水ストレス抵抗性等を低下させる要因となっている. 根系分布の深さを決定する基本的な要因の一つは根の重力屈性であると考えられることから, 著者らは種子根, 種子根から分枝した側根, 褐色の太い木化根に形成された側根および挿し穂から発生した不定根を用いて重力刺激に対する生長反応を調査した. また, 根における重力の感知装置とされている根冠細胞内のアミロプラスト粒子の観察を行った. その結果, 種子根は明らかな正の重力屈性を示したが, 側根, 不定根の多くは鉛直方向には伸長せず, 重力刺激に対してある角度を保って伸長するといわゆる傾斜重力屈性の現象を示した. さらに, 正の重力屈性を示した種子根はその根冠細胞内に多量のアミロプラストを含有したが, 傾斜重力屈性を示す側根, 不定根の多くが, その根冠細胞内にアミロプラストを観察できなかった. これらのことから, 栄養繁殖によるチャの根系の浅根化は根系を構成する不定根, 側根の重力屈性反応に大きく依存すると考えられた. また, 種子根と不定根, 側根の伸長方向の違いには根冠細胞内のアミロプラストの有無との関係が示唆された.
  • ロシッド モハマッド アブドゥル, 安藤 和雄, 田中 耕司, 海田 能宏
    1997 年 66 巻 3 号 p. 479-487
    発行日: 1997/09/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    1970年代後半以降の浅井戸灌漑の普及に伴って改良品種を用いたボロ稲作が急速に拡大した. しかし, ボロ稲作は灌漑を必須とし, 耕作者は浅井戸灌漑用ポンプ所有農民への依存を高める結果となった. すなわち, ポンプ所有農民がその優位性を利用し, 借地料を水田所有農民に支払って特に乾期のボロ稲作のために水田を集積するようになった. これがチャウニアと呼ばれる借地システムである. このシステムのもとでは, 水田を借り入れてボロ稲を栽培するポンプ所有農民が化学肥料, なかでも尿素を多用するようになり, 従来施用されてきた有機質肥料が投与されなくなった. このような条件のもとでボロ稲作が継続されるにつれて, ボロ稲の後作である雨季作のアマン稲に収量低下が認められるようになり, その原因として化学肥料多用による土壌劣化が指摘されている. しかしながら, 村人の所有農地は分散しているうえに, ポンプ所有農民が耕作農民への灌漑水の「水売り」を嫌うため, 多数の農民がチャウニア・システムを受け容れざるをえないという状況が続いている. こうしたチャウニア・システムの悪影響を考慮して, 一部の農民がボロ稲作の前にポンプ所有農民に有機質肥料を提供したり, ボロ稲の品種を変更する例が見られるようになった. ボロ稲作の作業体系に現れたこうした在来技術を活かした変化は, バリンド台地の作物生産を持続させるうえで意義あるものと評価できた.
  • 前田 英三, 三宅 博
    1997 年 66 巻 3 号 p. 488-496
    発行日: 1997/09/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    イネの反足細胞は開花前に, 裂片状の部分をもつ大きな核と多くの細胞壁突起をもっている. 同心円環状の小胞体の存在が, その細胞質の特徴である. 同心円状小胞体の中心には, 細胞質の一部やプラスチドが見られる. また環状構造の内腔は, ときに小さな接合部で融合している. 開花後に小胞体が多くの小片となることから, 開花すなわち受精の前後で小胞体の構造が顕著に変化すると考えられる. 胚嚢内中心細胞に近い反足細胞の細胞質内, およびその細胞壁に接して内腔の肥大した小胞体切片の見られることから, 反足細胞から中心細胞への物質転流機構に対する小胞体の関与が推測された.
  • 平 俊雄
    1997 年 66 巻 3 号 p. 497-498
    発行日: 1997/09/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
  • 山本 晴彦, 早川 誠而, 鈴木 義則, 大矢 正史
    1997 年 66 巻 3 号 p. 499-500
    発行日: 1997/09/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
  • 湯川 智行, 渡辺 好昭
    1997 年 66 巻 3 号 p. 501-502
    発行日: 1997/09/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
  • 中野 淳一, 山口 武視, 高柳 充寛, 滝上 忠美
    1997 年 66 巻 3 号 p. 503-504
    発行日: 1997/09/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
  • 小葉田 亨, HOQUE Murshidul Md.
    1997 年 66 巻 3 号 p. 505-506
    発行日: 1997/09/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
  • 渡邊 肇, 高橋 清
    1997 年 66 巻 3 号 p. 507-508
    発行日: 1997/09/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
  • 坪根 正雄, 窪田 文武, 斎藤 和幸
    1997 年 66 巻 3 号 p. 509-510
    発行日: 1997/09/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
  • 井上 吉雄
    1997 年 66 巻 3 号 p. 511-523
    発行日: 1997/09/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
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