日本作物学会紀事
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バレイショの生育に伴う葉の硝酸還元酵素と窒素分布の変化
FONSEKA Hemal Dhammike浅沼 興一郎一井 眞比古
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1997 年 66 巻 4 号 p. 669-674

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抄録
バレイショ4品種(男爵薯, メークイン, デジマ, ニシユタカ)を供試し, 葉身の硝酸還元酵素(NR)活性を in vivo で測定し, また, 葉身と塊茎における窒索分布を生育の時期別に定量した. NR活性に有意な品種間差異があり, 平均値で比較すると, ニシユタカで最高値(6.08 NO2-μmol h<-1> g-1 生体重), メークインで最低値(同4.92)を示した. すべての品種で萌芽後30日目までに高い活性を示し, 生育とともに低下する傾向がみられた. NR活性は葉の全窒素含有率および葉の窒素集積量と有意な正の相関を示したが, 全乾物重や塊茎乾物重とは相関がみられなかった. 全品種とも生育に伴い葉の集積窒素が減少し, 一方で塊茎では増加し, 生育終期にはニシユタカを除く3品種でほぼ同程度の窒素が塊茎に集積した. また, 葉緑素計(SPAD)指示値の自然対数とNR活性との間には有意な直線関係(r=0.749***)が認められた. 窒素量について計算した収穫指数は男爵薯及びメークインで高く, デジマとニシユタカで低かった. 以上より, NR活性はバレイショの乾物生産と直接結びつかないものと結論した.
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