抄録
ヤブマメのつるの生長と子実生産との関係を, ファイトマー概念に基づいて分析した. 地下部ではファイトマー数と花莢数とに強い正の相関があった. 分枝発生位置選択の可塑性(H)は, ファイトマー数に強い影響を受けたが, エントロピーによる草型指数(H')とファイトマーの伸長可塑性(PE)は影響されながった. 2次分技のH'は地上花莢数と有意な正の相関があり, 地際1次分枝のPEはファイトマー当り花莢数と有意な負の相関があった. 地上部と地下部のファイトマー数の間には相対生長関係があり, 地上部ファイトマー数と, 地上から地下に貫入したファイトマー(PS)数との相関が高く, 子葉節から発生した地下ファイトマー(CS)数との相関は低く, PSとCSを合計すると地上部との相関が最大となった. したがって, CSは地下部での補償生長機能をもつと推察された. 地際1次分枝のPEと, 地上から地下へのファイトマー貫入率とに負の相関が認められたことから, つるの平面的拡大と地下貫入による定着との間の拮抗関係が明らかとなった. PSとCSの関係や, H'とPEの変異をもとに, 草型, 本成り性の向上による栽培化が期待される.