抄録
環境保全型の作物生産技術の確立が急がれる中, 窒素肥料の投入量の軽減や減耗した有機物の補完を目的に, 根粒菌との共生窒素固定に基づく高い乾物生産力を有する熱帯原産のマメ科植物を緑肥作物として導入する作付体系が注目されている. 繊維作物や飼料作物としての利用が試みられているインド原産のクロタラリアや, 茎の皮目上に窒素固定を行う茎粒を形成して過湿な土壌条件下でも旺盛に生育するセスバニアは, いずれも緑肥としての有用な特性の一つである高い乾物生産能力と窒素固定能力を示す. これらの植物は, 我が国においても新規造成農地や水田の高度利用を目的とした転換畑などにおいて様々な作付体系への導入が期待されているところである. 本稿では, これらのマメ科緑肥作物の生育特性ならびにすき込み資材として利用する際に重要な特性となる窒素固定能やすき込み後の後作物の生育と窒素吸収の様相について概説するとともに, これらの作物を実際に導入するにあたって留意すべき点と緑肥として利用する際の遺伝的改良の試みについて紹介する.