日本作物学会紀事
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水稲湛水直播栽培におけるケイ酸施用が倒伏, 収量, 食味および精米の理化学的特性に及ぼす影響
内村 要介尾形 武文佐藤 大和松江 勇次
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2000 年 69 巻 4 号 p. 487-492

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抄録

水稲湛水直播栽培における倒伏軽減と良食味米生産技術の確立のため, 水稲茎葉のケイ酸含有率が低い条件下においてケイ酸の施用効果を明らかにした.ケイ酸施用区の水稲は無施用区の水稲に比べて, 稈の強さを表す稈の挫折重が重く, 稲株の地下部の支持力である押し倒し抵抗値が大きくなって, 倒伏程度は小さくなった.収量は, 登熟歩合が向上して増加した.食味は, 味が優れるとともに粘りが強くなって優れる傾向を示した.また, 精米中のタンパク質含有率は低下し, アミログラム特性は最高粘度が高くなった.これらのことから, ケイ酸の施用は, 湛水直播栽培の茎葉のケイ酸含有率が低い水稲に対して, 稈の挫折重を重くして株の支持力を強くすることによる耐倒伏性の向上, 登熟歩合の向上による増収および精米のタンパク質含有率を低下させアミログラム最高粘度が優れることによる食味の向上効果があると考えられる.これらの効果は, いずれもケイ酸64gm-2以上の施用区で顕著に認められた.

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