抄録
1992年から1998年までの7年間, 宮崎県総合農業試験場で早期水稲品種「コシヒカリ」と「きらり宮崎」を栽培し, 出穂に及ぼす気象要因の影響を検討した.移植期から出穂期までの生育期間を3相に分けて検討した結果, 出穂の早晩はコシヒカリではII相(分げつ始期から幼穂形成始期まで)において気温の影響を最も強く受けた.一方, きらり宮崎ではI相(移植期から分げつ始期まで)およびII相においてその影響を強く受けた.II相の平均気温と出穂日数との相関関係は分げつ始期後の3半旬から幼穂形成始期前の2半旬において認められるが, コシヒカリはII相の前半で高く, きらり宮崎は連続して後半まで高かった.1998年はI相およびII相が高温で経過して各生育相の日数が極めて短くなり, 特にコシヒカリでその短縮程度が大きかったため, 1998年のコシヒカリときらり宮崎との間に出穂期の逆転現象が現れたものと推察された.