日本作物学会紀事
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打込み式代かき同時土中点播栽培による湛水直播水稲の耐倒伏性向上 : 耐倒伏性向上および安定化のための点播条件 (<研究論文>栽培)
吉永 悟志脇本 賢三田坂 幸平松島 憲一冨樫 辰志下坪 訓次
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2001 年 70 巻 2 号 p. 194-201

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抄録
打込み式代かき同時土中点播機による直播栽培では, 散播栽培や条播栽培に比較して多様な播種条件の設定が可能で, 株間や播種深度を簡易に変えることができるとともに, 播種条件にともない点播形状が変化するという特徴を有する. そこで, これらの播種条件が耐倒伏性に及ぼす影響を明らかにするための試験を行った. その結果, 株間については, その拡大により稈長の増大や稈当たりの押し倒し抵抗値の低下による耐倒伏性の低下が示唆された. このため, 播種作業の高速化等にともない株間を広げる必要がある場合には施肥法や水管理により窒素吸収を制御して稈の伸長を抑制することや, 耐倒伏性の高い品種を用いることが重要となると考えられた. 一方, 点播形状については本試験における処理条件では耐倒伏性に対する影響の小さいことが示されたため, 極端に点播形状が大きくならなければ問題は生じないものと推察された. 播種深度については, 打込み点播機による播種を行った点播水稲は散播水稲に比較して, 播種深度が浅くなる株を生じにくいとともに, 播種深度が浅くなっても耐倒伏性の低下程度は散播水稲に比較して非常に小さいことが示された. 湛水直播栽培では播種深度を均一とすることが困難であるとともに出芽・苗立ちの安定化が重要な課題となるため, 播種深度が浅くなっても安定して高い耐倒伏性を示すという点播水稲の特性は直播栽培の安定化に重要な特性と考えられた.
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