日本作物学会紀事
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コムギ種子の登熟とフォーリングナンバー値との関係(品質・加工)
庵 英俊
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2001 年 70 巻 3 号 p. 373-378

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抄録
アミロ粘度が高い良質のコムギを適期に収穫するための知見を得る目的で, 1996年と1997年に北海道の主要産地で秋播コムギ(品種チホクコムギとホクシン)の登熟期における千粒重, 子実水分, フォーリングナンバー(FN)値の推移を調査した.年次による粒重の増加速度が異なり, 千粒重が最大となる時期(粒重最大期)に差異がみられた.子実水分は40%までは年次および産地を問わずほぼ一定の速度で低下した.しかし, 40%を切ってからは年次や産地により異なり, 出穂後55日でも水分が30%以下にならない場合や, 2~3日のうちに30%を切る場合などがあった.粒重最大期の年次間差や子実水分40%以降の低下速度の違いは登熟期の気温, 日照時間, 降水量の影響が大きいと考えられた.FN値は, 1996年には上昇をはじめる時期が遅くその上昇程度も小さく, 最大値が300sec以下の産地が多かった.1997年のFN値上昇は出穂後32~34日の早い時期にはじまり, ホクシンはチホクコムギよりFNの最大値が大きく, 300sec以上を示す期間が長かった.FN値が300secを超えると生理的成熟期にあたる粒重最大期を過ぎており, これ以降であればアミロ粘度が高い良質コムギの収穫が可能と考えられた.
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