日本作物学会紀事
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ハーブ・ヘラオオバコ(Plantago lanceolata L.)の機能性成分蓄積におよぼす気温,光強度,窒素施肥の影響(品種・遺伝資源)
田村 良文
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2001 年 70 巻 4 号 p. 548-553

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抄録

ヘラオオバコの2品種を供試して,機能性成分であるイリドイド配糖体のCatalpol と Aucubin及びフェニルエタノイド配糖体のActeoside蓄積に及ぼす気温,光強度および窒素施肥量の影響を人工気象室で2段階の処理を行って検討した.気温については,昼温20℃/夜温18℃(20/18℃)と同15/10℃の2段階とした.その結果,生育は15/10℃条件で優れ,フェニルエタノイド配糖体のActeosideは20/18℃に比較して15/10℃で含有率が高まった.一方,イリドイド配糖体であるCatalpolとAucubinでは15/10℃に比較して20/18℃で含有率が高かった.これは,フェニルエタノイド配糖体とイリドイド配糖体の気温に対する蓄積反応が異なることを示している.光強度の影響を72%の遮光処理を行って検討した.遮光により生育量は明らかに減少し,AucubinとActeoseideの含有率は明らかに低下した.低下の程度はActeoseideでより顕著であった.一方,Catalpolには変化がなかった.これは,CatalpolがAucubinを前駆物質として生合成され,低濃度で飽和に達するためと考えられた.窒素施肥の影響については,水耕液の窒素濃度を無窒素施用(水道水)と硝酸アンモニウムを用い50mgL-1に高めた処理を設けて検討した.窒素濃度を高めることによる乾物生産の増加は僅かであった.一方,AucubinとActeoseideの含有率は顕著に低下し,Catalpolの含有率には変化がなかった.以上から,ヘラオオバコにおける機能性成分の蓄積は気温と光強度および窒素施肥の影響を受けること,特に,気温に対してはフェニルエタノイドとイリドイドの両配糖体で蓄積反応が異なることが分かった.これらの蓄積反応の違いを利用して,機能性成分含有率の高いヘラオオバコを生産する栽培技術の開発が期待される.

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